”大学院生が論文を書くこと”について、メリットや個人的な意見を書いてみます。
【大学院生へ】論文書いてますか?(ジャーナル・学会発表)
修士課程の大学院生は、必要な単位数分だけ授業を受けて、2年間かけて修士論文さえ書けば卒業(修了)できてしまいます。ただし、大抵の学生は、修士論文以外にも、学会発表したり学術雑誌(ジャーナル)に論文を投稿したりするでしょう。
「みなさんはどれくらい論文書いていますか(書く予定ですか)。」
ちなみに私の場合、修士課程の2年間での(主著としての)研究業績は、
- ジャーナル掲載 x 3
- 学会発表 x 10
です。自己評価は、そこそこ頑張ったかなという感じです。たくさん失敗もしてきましたし、良い思いもしてきました。
そんな私が、この記事では、論文を書くメリットや、論文を書くことへの意見・感想を書いていきたいと思います。
大学院生が論文を書くメリット
実際に私が体験・体感した「修士課程の大学院生が論文を書くメリット」は以下の8点です。
- 奨学金が返還免除になる
- 研究費で旅行に行ける
- 研究者としてのステータスを上げられる
- 就職・転職活動でアピールできる
- 査読などを通して研究に対する評価を受けられる
- 論文を書く前提で進めると良い研究ができる
- レポート作成力を鍛えられる
- 論文を書いて初めて研究成果となる
それぞれ詳細を以下でまとめていきます。
メリット1:奨学金が返還免除になる
論文をたくさん書き、研究業績が学年上位になると、日本学生支援機構の「特に優れた業績による返還免除」という制度が適用されます。この制度では、借りた奨学金の返還が免除になります。つまり、お金をそのままもらえます。
私の場合は、200万円ほど返す必要がなくなりました。実質、学費ゼロで修士号を取得できたと言えるでしょう。
メリット2:研究費で旅行に行ける
学会発表を行う場合、研究費という名の”他人のお金”で旅行ができます。飛行機に乗って、キレイなホテルに泊まって、ウェルカムパーティーでお酒を飲んで…全てがタダ。
私の場合は、国内7ヶ所、海外3ヶ所に研究費で行かせてもらいました。この中には、ハワイなんかも含まれており、とても良い思いをさせてもらいました。
メリット3:研究者としてのステータスを上げられる
論文を書くことで、自身の個人名を、世の中に残すことができます。当たり前のことかもしれませんが、これは、研究者としての価値を客観的に示す重要なステータスになります。
このステータスは、もちろん卒業後も有効です。例えば、会社に入った後でも、アピールの材料として使うことができるでしょう。
逆に、会社に入ってから個人名が載った業績を世に残せる機会は減ってしまいます。そのため、大学院生のうちにたくさん業績を残す必要があります。
メリット4:就職・転職活動でアピールできる
上記のメリットと重複しますが、論文をたくさん書いていると、就職・転職活動でアピールすることができます。特に、研究職を志望する場合は、重要な指標になります。
メリット5:査読などを通して研究に対する評価を受けられる
講演会やジャーナルに論文を投稿すると、多くの場合、採択/不採択に関わらず査読コメントを読むことができます。査読がない講演会に投稿した場合でも、発表に対するコメントを聴衆からもらえるでしょう。
これらのコメントは客観的であり、その後の発展のためにとても参考になります。査読を受けるだけであれば無料ですから、論文の完成度が低くても、今後のヒントを得るために投稿してみる価値は大きいでしょう。
メリット6:論文を書く前提で進めると良い研究ができる
論文を書くことを意識しないで研究を進めてしまうと、自己満足な方向に逸れていってしまうことがあります。そのような場合、いざ論文を書き始めてみると、「なんでこの研究してたんだっけ?」となってしまいます。
一方で、論文を書く前提で研究を始めると、その完成像から逆算して進めることができるでしょう。特に、以下を意識することが、良い研究へつながるでしょう。
- なぜこの研究をするのか
- 先行研究と比べてどのような差異があるか
- 自分の考えが正しいことをどのように証明するか(i.e. どんな実験データが必要か)
メリット7:レポート作成力を鍛えられる
論文を書く過程でレポート作成力を鍛えることができます。論文では、研究成果を論理的かつ分かりやすく言語化する文章力が求められます。1本目の論文を書くときは非常に苦労したのを覚えています。しかし、何本も論文を書き、たくさん添削を受けていくなかで、文章力は徐々に身につきます。
また、文章力だけでなく、実験結果をグラフで分かりやすく可視化したり、アルゴリズムを図解したりする能力も鍛えられます。
このような能力は、会社に入った後も役に立ちます。
メリット8:論文を書いて初めて研究成果となる
研究とは、論文を書いて初めて完結します。極端な表現をすると、論文として世の中に記録を残さなかったら、何もしていないのと同じです。
私にとって、この考え方は大きなモチベーションになっていました。実験結果がそろったら、「せっかく多くの時間を費やしたのだから、成果を形に残したい」という気持ちになっていました。
さいごに
学生が論文を書くメリットを8点まとめてみました。どれも、私が実際に体感したものです。論文を書くのはたしかに大変ですが、それに見合うメリットがたくさんついてきます。
この記事が、みなさんが論文を書くきっかけになったら幸いです。
以上です。
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