メーカーにおける技術系の職種を紹介していきます。

【理系】メーカーにおける技術系の職種紹介

“技術職の中にはどんな職種があるのでしょうか?それぞれの違い・特徴は何でしょうか?”

理系出身の方々は、就職・転職活動のときに、上記のような疑問を持つことでしょう。

この記事では、メーカー(製造業)勤務経験のある私が、技術系の各職種についてまとめていきます。

この記事を読むことで...

  • メーカーにおける技術系の各職種の特徴を理解できます
  • どんな人が、どの職種に就職(転職)しやすいかの傾向を知ることができます
目次

製造の流れ(上流~下流)

各職種を理解するために、まずは、企業における製造の流れを見てみましょう。

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上図のように、メーカーは基本的に、研究、開発、生産、販売+メンテナンスの流れでお金儲けをします。

具体的には、

  • 研究で、新技術を生み出し、
  • 開発で、その新技術を取り入れた新製品の図面をつくり、
  • 生産で、その図面から現物を生産し、
  • 販売+メンテナンスで、お金を得る

という流れです。

この流れの始まりの方を”上流”、終わりの方を”下流”と呼んだりします。

製造の流れを大まかに理解したところで、各職種の詳細を以下にまとめていきます。ただし、販売は、主に事務系の職種であり、技術系ではないので省略します。

職種一覧

上図の流れを意識しつつ、以下で技術系職種をまとめていきます。

研究職

研究職は、文字通り、研究をする職種です。最も”上流”に位置する職種と言えるでしょう。

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研究職の仕事内容

研究職の仕事内容は、世の中に存在しない新技術(材料なども含む)を生み出すことです。

目標は、5~10年後の製品に、その新技術が採用されることです。そのため、実際に販売される商品をつくるわけではありません。あくまで、将来的に商品に使われる”かもしれない”というモチベーションで研究を行います。

研究成果は、論文や特許になることもあります。

研究職に就くメリット

  • 研究分野の専門家になれる
  • 技術的なスキルが身につく
  • 0から1を生み出すやりがいを感じられる
  • 最先端の技術に触れ続けられる
  • 製品リリースなどの期日に追われない

研究職に就くデメリット

  • 狭く深く極めるタイプなので、幅広くは携われない
  • 研究成果が製品に搭載されて世の中に出るまで時間がかかる

どんな人が研究職になれるか

研究職になるのは狭き門です。その理由は以下です。

  • 高度な専門知識が必要
  • 研究は、先行投資であり、すぐに儲かるわけではないから配属される人数が少ない

これらの理由から、研究職のほとんどの人が修士(大学院卒)です。特に、学生時代から、既に似たような分野を研究していた人が多い印象です。なかには、博士の人もいます。そのため、学士(学部卒)では、なかなか配属されづらいのが現実です。

ちなみに、大企業のほうが、たくさんのお金と人員を研究に注いでいるので、配属の枠が多いと思います。そもそも研究をほとんどやっていない企業などもあるため、研究開発費ランキングなどをチェックするとよいでしょう。

開発職

研究職と開発職は、”研究開発職”とまとめられることがよくありますが、この2つは別物として分けることができます。

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開発職の仕事内容

開発職の仕事内容は、新商品を図面化または試作することです。

最もイメージしやすいのは、設計の仕事でしょう。ただし、開発職の中には、その他にも様々な職種が存在するため、以下で分類しながら仕事内容をまとめていきます。

以下で紹介される開発職の共通点は、実際に販売される製品をつくる点です。研究職が生み出した新技術を採用して、実用化させることもあります。

設計系

設計系の仕事内容は、商品の図面を描くことです。ここで言う図面とは、機械の図面だけでなく、電気回路なども含まれます。

性能、耐久性、コストなどの要求を満たすように設計していく必要があります。

技術開発系

技術開発系の仕事内容は、商品に用いられる技術をつくりだすことです。

設計系が製品全体の設計を担当するのに対して、技術開発系は製品に用いられる要素技術を担当します。例えば、ソフトウェア、材料、要素部品(エンジンなど)です。

研究職と似ていますが、開発職は実際に売り出される商品の技術を担当する点で異なります。

試験系

試験系の仕事内容は、他の開発職がつくった試作品や製品をテストすることです。

多種多様な条件で試作品を使ってみて、性能、耐久性、安全性などをデータとしてまとめるのが役割です。また、設計担当に対して、設計変更の提案などもすることがあります。

開発職に就くメリット

  • 技術的なスキルが身につく(CAD、プログラミングなど)
  • 担当した製品を世の中に送り出すやりがいが感じられる
  • 多くの部署と関わることができる(その必要がある)

開発職に就くデメリット

  • 研究職と比べて、0から1を生み出すような斬新なことはしづらい
  • 製品のリリース期日に追われる(研究職より忙しい印象)

どんな人が開発職になれるか

研究職ほど狭き門ではないですが、ほとんどの人が修士(大学院卒)である印象です。

ただし、学生時代の研究内容と似た業務をしている人は少ない印象です。特に、設計系はその傾向が強く、入社後に設計についてイチから学ぶ人がほとんどです。

生産技術職

生産技術職は、生産現場と関わりの深い職種です。そのため、メーカーにおいて”下流”に分類されることが多いです。

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生産技術職の仕事内容

生産技術職の仕事内容は、商品を生産するための設備や環境、技術をそろえることです。

開発職がつくった図面をもとに現物を量産するにあたって、より効率よくするのが目標です。具体的には、どんな工程にするか、どんな設備を導入するかなどを検討します。

基本的にはデスクワークがメインですが、現場の現状を把握したり、現場の作業者の話を聞いたりするために、現場に出向くことも多いです。

生産技術職に就くメリット

  • ものづくりの現場に関われるやりがいがある
  • 動かす金額(どでかい生産設備の導入など)が大きい分、成果の金額も大きい

生産技術職に就くデメリット

  • 製品自体の開発はできない
  • 24時間稼働している工場のトラブルに対応しないといけない(休日出勤、業務時間外の電話など)

どんな人が生産技術職になれるか

学士(学部卒)の人が多く配属される印象です。学生時代の研究を活かしづらいのが理由だと思います。逆に言うと、希望すればどんな人でも生産技術職になれる可能性が高いと思います。

ちなみに、日本のメーカーでは、生産技術職出身の人が、工場長などを経て社長になることが多い印象です。

サービスエンジニア

メンテナンスが必要な商品を販売しているメーカーには、サービスエンジニアという職種があります。メーカーにおいて、最も”下流”に位置する職種と言えるでしょう。

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サービスエンジニアの仕事内容

サービスエンジニアの仕事内容は、販売後の商品のメンテナンスや修理です。基本的に、客先に出向いての(身体・手を動かす)実務がメインになり、デスクワークの割合は比較的少ないです。

サービスエンジニアに就くメリット

  • 手に職がつく(資格もたくさん取得できる)
  • お客さんの生の声を聞くことができる
  • 出張が多い

サービスエンジニアに就くデメリット

  • 新しいものをつくるやりがいは感じづらい
  • デスクワークと比べると危険性が高い
  • デスクワークで活躍するスキル(CAD、プログラミングなど)を身につける機会が少ない

どんな人がサービスエンジニアになれるか

高専卒の人が多い印象です。学部卒でも配属される人もいます。

客先に出向く仕事であるため、コミュニケーション能力も求められます。自動車業界などでは、「1台目は営業、2台目はサービスエンジニアから買ってもらう」という言葉があるくらい、サービスエンジニアの客ウケは重要です。

下流職種から上流職種への異動は難しい印象

希望職種を考えるにあたって、「他職種への異動(または転職)のしやすさ」は重要になるでしょう。

上流職種になればなるほど、事前知識やスキルを既に持っていることを求められます。そのため、下流職種から上流職種への異動や転職は難しくなります。

一方で、上流職種から下流職種への異動事例はよく聞きます。特に多いのが、研究職から開発職への異動です。例えば、研究していた新技術を、新商品に実装するために、開発に異動してそれを担当することはよくあります。

まとめ

  • メーカーの技術系職種:
    • 研究職:最先端技術をうみだす
    • 開発職:新商品をつくる
    • 生産技術職:商品を量産するための設備を整える
    • サービスエンジニア:販売後の商品のメンテナンス
  • 上流 ~ 下流
    研究職 → 開発職 → 生産技術職 → サービスエンジニア
  • 上流職種の方が狭き門(高学位が必要)になりがち
  • 下流職種から上流職種への異動はきびしい

メーカーに就職・転職したい理系のあなたへ

まずは、気になる企業のホームページや、就職・転職サイトで、どんな求人があるかチェックしてみると良いかもしれません。

さいごに

メーカーにおける技術系の各職種の特徴をまとめてみました。

少しでも参考になれば幸いです。


以上です。

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