SpringerのTexテンプレートの使い方についてまとめました。
SpringerのTexテンプレートがややこしすぎる【BiBTeX】
先日、初めてSpringerに論文を投稿しました。その際に、Texテンプレートが、個人的に経験したことないようなものだったので苦戦しました。次使うときに苦戦しないように、この記事を残します。
この記事では、SpringerのTexテンプレートについて、コンパイル方法を中心にご紹介していきます。Springerのテンプレートについての解説ですが、他の似たようなテンプレートを使う際にも役立つかと思います。
対象のテンプレート
今回ご紹介するのはSpringerのBioMed Central(BMC)のテンプレート「BioMedCentral_article」です。BMC以外のSpringerのジャーナルでも使われているテンプレートのようです。詳細は下記の公式ページで確認できます。
▶BMC:Preparing your manuscript
※BioMedCentral_articleはあくまで一例であり、指定のテンプレートはジャーナルや学会によって異なります。ご自身の投稿予定のジャーナル・学会のホームページで、何のテンプレートを使っているか改めてご確認ください。
どうややこしいのか?
BibTeXというものが使われている点が難しかったです。BibTeXを使ったことがある方々にとっては、なんてことないかもしれません。
BibTeXとは?
BibTeXとは参考文献の一覧の整形に使われるツールだそうです。
まずはテンプレートのダウンロード
まずはテンプレートのZIPファイルをダウンロードします。直接ダウンロードできるリンクも下記に載せましたが、本記事投稿時(2020年9月)のバージョンです。バージョンが更新されている可能性もあるので、公式ホームページからダウンロードしましょう。
▶BMC:Preparing your manuscript ←公式HP
( ▶BioMedCentral_article (ZIP format) ←直接ダウンロード)
ZIPファイルの中身
ダウンロードしたZIPファイルを解凍すると以下のようなファイルが入っているはずです。
- bmc_article.tex
BioMed Centralの原稿テンプレートです。このファイルのコピーを編集します。 - bmc_article.pdf
The BioMed Centralの原稿テンプレートから作成した見本PDFです。 - bmc_article_2col.pdf
The BioMed Centralの原稿テンプレートから作成した2段組みレイアウトの見本PDFです。 - bmc_article.bib
bmc-mathphys.bst(スタイルファイル)を用いてBibTeXで.bblを作成するための参考文献ファイルです。このファイルのコピーを編集します。 - bmc_article.bbl
bmc-mathphys.bst(スタイルファイル)を用いてBibTeXで作成した参考文献ファイルのサンプルです。 - bmc-mathphys.bst
BioMed Centralnの参考文献フォーマットの BibTeXスタイルファイルです。 - spbasic.bst
Springerの参考文献フォーマットのBibTeXスタイルファイルです。 - vancouver.bst
Vancouverの参考文献フォーマットのBibTeXスタイルファイルです。 - bmcart.cls
原稿用のページレイアウトスタイルクラスです。 - bmcart-biblio.sty
参考文献タグのスタイルです。 - readme.html
テンプレートの使い方が書かれたREADMEです。

ZIPファイルのより詳しい内容はreadme.htmlで確認できます。
どのファイルが必要?
上記のZIPファイルの中身のうち、自身で論文を執筆するのに必要なファイルは以下の通りです。その他のファイルは見本などなので、執筆には必要ありません。
- bmc_article.tex
- bmc_article.bib
- bmc-mathphys.bst
- spbasic.bst
- vancouver.bst
- bmcart.cls
- bmcart-biblio.sty

どのファイルを編集する?
実際に編集するのは以下の2つのファイルです。
- bmc_article.tex
本文 - bmc_article.bib
参考文献
PDF生成手順
コンパイルしてPDFを生成していきます。
texファイルのコンパイル
まずはbmc_article.texを「LaTex」でコンパイルします。
ちなみに私はWindowsのTexworksを使っていますので、Texworksのスクリーンショットを載せています。お手元のツールでも同様のコンパイルができるはずです。

LaTexコンパイル後のディレクトリ
コンパイル後のディレクトリは以下の通りです。

生成されたPDFを確認
生成されたPDFを開いてみると、下図のように、参考文献が抜けていることが分かると思います。

参考文献が表示されていない理由は、「本文」と「参考文献」は別のファイルに記述されていて、それぞれコンパイルする必要があるからです。以下で参考文献部分のコンパイルをいきます。
bibファイルのコンパイル
bmc_article.bibのコンパイルをしていきます。
先にtexファイルをコンパイルしないと...
コンパイルの順番は「LaTex → BIBTex」です。
もしbibファイルをコンパイルすると、下記のようなエラーがでます。LaTexコンパイルでauxファイルを生成しておく必要があるみたいです。
I couldn't open file name `bmc_article.aux'
コンパイル方法
bmc_article.bibをTexエディタ(下図はTexworks)で開き、BiBTexでコンパイルします。

BiBTexコンパイル後のディレクトリ
コンパイル後のディレクトリは以下の通りです。bblファイルが生成されている点がポイントです。

もう一度texコンパイル
bibファイルのコンパイルによってbblファイルが生成されたことを確認できたら、もう一度texファイルをコンパイルします。
PDFに参考文献が読み込まれる
以下のように参考文献のリストがPDFに読み込まれます。

どの行で参考文献を呼んでる?
texファイルの中で別ファイルの参考文献を読み込んでいる訳ですが、どの行で指定しているのでしょうか。答えは下記の318行目の\bibliography{}です。
\bibliography{bmc_article} % Bibliography file (usually '*.bib' )
そのため、もしファイル名を変えるのであれば、ここも書き換える必要があります。
ファイル名を変えたいときは...
ファイル名を変えたいときは、以下3つを一致させる必要があります。
- texファイル名
- bibファイル名
- texファイル内の\bibliography{bibファイル名}
(例)
- texファイル名
bmc_article.tex → my_project.tex - bibファイル名
bmc_article.bib → my_project.bib - texファイル内の\bibliography{bibファイル名}
\bibliography{bmc_article} → \bibliography{my_project}
さいごに
SpringerのBioMed Centralのテンプレート「BioMedCentral_article」について、コンパイル方法を中心にご紹介しました。特にtexファイルとbibファイルの関係性について把握できたかなと思います。
参考になれば幸いです。
以上です。
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